ナントナックス、ブログはじめる

私、ナントナックス、ブログを始めます。

私が書いた小説がいつか朝ドラになることを夢見ています。

今回は朝ドラに今までなかった「ファンタジー」を取り入れた物語。

「〜〜なことあるかい!」

と、言われて結構!

気ままに書きます。

 

これからの物語はフィクションであり、実在する人物、会社名、地名とは何にも全然関係ありません。

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今日は特に暑い。6月といえども真夏のようだ。リクルートスーツに身を包み履きなれない靴をはいて ホテルの玄関に到着した女の子。

女の子といえども18歳。ショートカット、前髪は横に流してピンで留め、凛々しいまゆげと赤い頰、かわいい…ではない、でも、ブサイク…ではない、この子に合った言葉は「おしい」…がぴったり。

この春から高校3年生。山手ひびき。

田舎でもなく都会でもない中途半端な場所で生まれ育ち、勉強は苦手、部活の書道部もあまり行かず、友達は少しいるけど、人気者でもなく。いよいよ就活を意識し始めたとき、都会に出たいという気持ちが高まった。

求人票に、去年叔母と泊まったホテルの名前があった。

「ここ、よくね?きれいだったし、ケーキ美味しかったし、なんといっても都会だし」

 

電車を乗り継いで1時間。やっと到着した。

街のホテルは駅の近くにあり 多くの人が行き交っていた。

 フロント係の年配の男性に声をかける。

「山手ひびき、です。今日面接をお願いしています。」

フロントの男性はニコッと笑い、優しく言った。

「はい、伺っております。右手の喫茶へご案内します。」

(喫茶?カフェじゃないんかい?)

「ありがとうございます!」

いつもは出さないような明るい声をだし、緊張感を全体に出してついていった。

喫茶には、50代くらいのスーツ姿の女性が手前の席に座っていた。

(うぇー、カッコいい大人やん)

「山手さんね、どうぞ」

この女性もニコッと笑い座るよう促した。

喫茶の小さなテーブルに真向かいに座り、いよいよ面接。

「私はこのブリッジホテルの支配人、大橋茜です。」

「山手ひびきです。海陽高校から参りました。」

「海陽からわざわざすみませんね。1時間くらいかかったでしょう」

「いえ、電車は好きなので大丈夫です。」

「電車、好きなの?」

「はい…」

(おお、好印象を持ってもらうためうっかりウソついた!バレとるかな?)

「乗るのが好きなの?どんな電車が好きなの?」

「乗るの、好きです。?どんな電車?」

(ここを掘り下げるかー⁈なんなんこの人?)

「ほら、特急とか新幹線とか、在来線とか観光列車がいいとか、あるでしょう?」

「それはなんでも…」

「あ、そう。そうよね。へんな質問したわね。私、乗り物オタクなのよ。共通の趣味あるかなーと思って。」

「す、すみません。電車好きなんて言って。」

(絶対ウソバレた。本当は電車のなかで座れんくてずっとため息やったし)

それからは事務的な質問になった。給料のこと、勤務時間のこと、寮のこと。

(絶対あのこと言わないかん!アレが決め手なんだから!これで採用をキメる!)

「あの、私は給料とか仕事の内容とか、特にこだわりはありません。

去年、叔母とここに泊まった時にサービスに感動してここで働きたいと思ったのです。」

急にひびきの声が大きくなったので、支配人は驚きながら言った。

「サービスって?どんなことをしたのかしら」

「私が誕生日だって知ってたのか、夕食の時にバースデーケーキを持ってきてくださったんです!」

(キマった!どう?どう?)

「あれ?それって…」

少しの間があった。

「あなたにとっていい印象であったことは、私としてもうれしいことだわ。

わかりました。また、採用かどうかは学校に連絡するわね。」

そういって席を立った。

(あれ、思っていた反応と違うね〜。あれ?)

支配人は玄関まで送ってくれ、別れ際に言った。

「あなた、叔母様とこちらにきた時は初めてのホテルだったのかな?」

「そうです。ホテルというものに初めて泊まりました!」

(初めての感激感出したよ)

「そう、ありがとうございました。また機会があったら叔母様と来てくださいね。」

ひびきは深くお辞儀をして、駅に向かった。

なんだかモヤモヤした気持ちだった。

ひびきにとって始めての面接、始めての就活、用意していた言葉は伝えた…が何だか「不採用」の予感はしていた。

電車に乗ったらすぐ叔母にラインをした。

「栄子ちゃん、私は多分不採用です。(泣)」

 

つづくー!